画家あれこれ 6     2014.7.27 NEW

やんごとなき方々の絵2 徳川慶喜公 

「蓮華之図」 徳川慶喜筆
「蓮華之図」 徳川慶喜筆

 

やんごとなきもう御一方は最後の将軍、徳川慶喜公。


彼?!との出会いは昨年の日経新聞文化欄から始まります。

パッと目に入った写真の横に、

徳川慶喜・洋画家の文字がありました。

 

えつ?うそ~?何コレ?

 

慶喜公が描いたのーーーーおおおお????

 

この時ばかりは、静岡に飛んでいきました。

 

2013年11月30日日経新聞文化欄
2013年11月30日日経新聞文化欄

 

「将軍の油絵」は幕末から明治にかけて

 

日本に“油絵”の技術が入ってきた頃の貴重な作品。

 明治の最高峰洋画家として、後の世で語られるのは、


実は慶喜ではないか。

そんな衝撃を受けたのを今でもはっきり覚えています。

 

「蓮華之図」1868年頃 東叡山護国院蔵 (展覧会カタログP.66)
「蓮華之図」1868年頃 東叡山護国院蔵 (展覧会カタログP.66)

 

このシュールさと、得も言われぬ色気。

パリ万博の翌年、1868年頃の作品です。

時代的にはヨーロッパで日本ブームがおこり、

印象派の幕開けといわれるモネの「日の出」(1873)が

生まれる5年ほど前に描かれた作品です。

 

モネ 日の出
モネ 日の出

 

注目は衝撃の制作年。1868年!!

そう明治元年ではありませんか。

絵の前で、しばし絶句。

 

徽宗の亡国。

慶喜公の無血開城。大政奉還。

れぞれの奥の奥に抱える物語が、

これほどリアルな作品はめったにお目にかかれません。

 

更に、キャプションに【素材 絹地に油絵】とあり、

絹地に油彩画を描いている私にとっては、震えがきました。

あれ以来、慶喜公にぞっこん!!